洒落にならない怖い話まとめぽぽぽ・・・

怖い話にはいい話もあるんだよ?

乗り移られた先輩

今から5年位前にワタシの先輩(♂)が体験した話です。 (ちょっと長いです) ワタシの先輩のご両親が、ファミリー系のレストランを経営してるんですね。 その先輩も暇がある時はたまに店を手伝ったりして。

ある日先輩が外出先から帰ってきて、車を駐車場に入れたんですって。 その駐車場というのは先輩のすむアパートからはちょっと離れていて、ある民家に面しているそうです。 その民家というのは先輩の友だち、Sさんの家なのだそうですが、車を止めて上を見上げると、その友だちがベランダに立っているんですって。 その時は「アイツ何やってんのかな~」ぐらいにしか思わなかったらしいんですが、しばらくすると電話があり、「おい、聞いたか?Sが自殺したってさ!」という電話だったそうです。 その自殺したはずのSさんをベランダで目撃していた先輩は「嘘だろ、Sなら今ベランダにいたぞ」と言うと、「ベランダで首吊ったんだよ」と言う事でした。 そうです、先輩は自分の友だちが首を吊って自殺した姿を目撃してしまったのです。 自殺の原因は両親の離婚など、複雑な家庭事情でノイローゼ気味になり、衝動的に首を吊ってしまったらしいです。

それから数日後、先輩が寝ているとその友だちが夢枕に立ち、 「お前は俺が色々悩んでいるとき、心配して相談に乗ってくれたな。  しかも俺の最後を看取ってくれたし。 そんなお前が気に入ったから、お前の中に入らせてもらうよ。」 と言われ、「そんな困るよ」とかなんとか言っているうちに乗り移られてしまったそうです。 目が覚めて「あれは夢だったんだろう」と思う事にして、その日もいつものように店に出かけたそうです。

店につくと、バイトの女の子が一人、先輩の顔を見るなりいきなり泣き出したそうです。 この子は霊感が強い子で、「どうしたんだよ、いきなり泣き出して」というと「ちょっと待って、落ち着いたら話すから」と言うのでその子が落ち着き、話を聞いてみると「Iさん(先輩の名前です)の友だちで、ここにほくろがあって、こう言う喋り方をする人いない?その人死んだでしょ?」と言い出しました。 その自殺した「Sさん」と言うのは喋り方に特徴があり、喋る時に口が左に曲がるそうです。 「なんで知ってるの?」と聞くと、「自分で気がつかないの?Iさん、そういう喋り方になってるよ。」 と言われ怖くなった先輩はその子に「実は...」と今まであった事を話し、「何とか祓えないかなぁ。」 と言うと、その子は「来るかどうかわかんないけど呼び出してみる」と言う事になり、店が終った後に呼び出してみる事にしたそうです。

店の厨房で先輩とその子を含む数人で出てきてくれるように念じていると、どこからともなく地鳴りのような音がし、「Sさん」が出てきたらしいです。 先輩とその子が説得していると「絶対出るもんかぁ!」と怒りだし、その時ステンレス台の上に乗っていたグラスの山がものすごい勢いで飛び散ったそうです。 結局その子も先輩も出ていってもらうのをあきらめる事にしたそうです。

この話には後日談があり、ある日先輩が朝起きて鏡を見ると、自分の首に縄の跡がびっしりとついていた事があったそうです。 いまだに先輩の中には「Sさん」がいるらしいのですが、「別に悪さをされるわけじゃないし、もうあきらめたよ」と言っています。