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怖い話にはいい話もあるんだよ?

【過去の行い】えっ!川に捨てていいの? 時が経ち結婚した【不可解】

 

哲夫さんが小学生低学年の頃、土曜日の午後に学校から帰ってきて昼ごはんを母親に作って貰っているのを待っていると玄関の呼び鈴が鳴った。行って玄関を開けると誰もいなくてベビーカーが置いてあった。

  

 

台所へ行き母親にベビーカーが置いてあった事を伝えるとこっちを向かずに裏の○○川に捨ててきなさい。と言われた。えっ!川に捨てていいの?って聞き返したがいいから捨ててきなさい。とまた振り向かずに言われた。

  

 

 

よくわからないが哲夫さんはベビーカーをおして家の裏の道を進んで○○川にベビーカーを捨てに行った。ベビーカーには鈴がついており動かす度にチリンチリンと音を立てた。まったく汚れもなく綺麗だなと思ったが母親が捨てろと言うのだからいいのだろうと思ってベビーカーを担ぎ上げて川に捨てた。

  

 

 

家に帰ってお母さんベビーカー捨ててきたよ。と言ったが特に何も言われず作ってくれた焼きそばを2人で食べた。

  

 

時が経ち哲夫さんは地元で結婚した。子宝に恵まれてかわいい女の子を授かった。営業マンとしてばりばり働き順風満帆な生活がしばらく続いた。

  

 

ある日も営業に出ていると携帯電話が鳴った。妻からだった。かけ直すと酷く取り乱した声でゆきちゃんがいなくなった。今警察にいる。と言われた。

 

 

ゆきちゃんは哲夫さんの愛娘である。哲夫さんは急いで妻のいる警察に駆けつけた。妻は青い顔をして動転していた。どうした?何があった?

 

と問い詰めると奥さんが話し始めた。

  

 

奥さん曰く友達の家にベビーカーに娘を乗せて遊びに行った。その帰り道、ベビーカーの車輪が一つ外れた。また一つ外れた。ついにはネジまで外れはじめてもはやパーツの山になった。

 

そこへ1人の老女が現れた。あら?大変ね。私の家に使ってないベビーカーがあるから使いなさい。とニコニコ言われた。娘を抱いて帰ろうとすると火がついたように泣きじゃくる。奥さんは老女の行為に甘える事にした。

  

 

真新しいベビーカーを老女が持ってきた。老女にお礼を言うと、こちらこそ。とよくわからない返答をされた。娘を乗せて家へとを奥さんは急いだ。

  

 

 

そうこうしてるうちに坂道に差し掛かった。坂道を越えると家まですぐだった。奥さんはそこで足に違和感を感じた。足をみると両足のスニーカーの紐が絡み合って硬く何重も結ばれている。えっ!と思って解こうとするとチリンと音がしてベビーカーが動きはじめた。

 

 

えっ?と思ったがベビーカーはゆっくり坂道を登っていく。チリンチリンと鈴の音を鳴らしながら。必死で紐を解こうとするが解けない。なんとか無理やり片方の靴を脱いで追いかけたが坂道を登りきった時にはもうベビーカーは消えていた。

 

 

ベビーカー?鈴?小学生の時の事を哲夫さんは思い出したがそんなことあるわけないと自分に言い聞かせた。とにかく警察による捜索が始まったから哲夫さん夫婦は自宅で待機する事になった。

  

 

哲夫さんは全く寝れなかったが奥さんは疲れたのかソファで寝てしまっていた。明け方警察から電話があった。哲夫さんが電話に出て警察からの説明を受けた。電話を切って振り返ると妻が立ってこちらを見ていた。

 

 

○○川でしょ?奥さんが言った。哲夫さんは心臓が止まるかと思った。今警察から○○川に娘さんらしき遺体が見つかったと連絡を受けた所だった。なんで知ってる

 

と奥さんを問い詰めると奥さんが言った。

  

 

 

今夢で見たの○○川にゆきちゃんを乗せたベビーカーを放り投げるあなたの姿を。と言った。

 

とにかく警察に言われた通り確認しに行った。娘だった。そこからは色々な手続きを経て悲しみに暮れながらも通夜、葬式を行った。葬式には哲夫さんの年の離れた姉が来た。久しぶりの再開だった。

 

 

姉は母親と折り合いが悪く高校を出ると東京に行き正月も帰ってくる事はなかった。精神的にまいっていた哲夫さんは姉に小学生の時のベビーカーの事、奥さんが見たベビーカーの事などを全て話した。姉は静かにその話を聞いていたが多分あの人がやった事ね。と呟いた。

 

あなた覚えてないの?とお姉さんは言った。なにが?と聞くと、あなたが小さい時からあの人は毎晩私が寝たのを確認してあなたのものを口に入れてたのよ。と言われた。一瞬意味がわからなかったが意味に気づいた哲夫さんがそんなわけないだろ!と怒るとお姉さんはそのまま出て行って帰ってこなかった。

  

 

 

なんなんだいったい。哲夫さんはわけがわからなかった。奥さんはあの事件の後精神を病んで四十九日が終わると離婚する事になった。

  

 

 

哲夫さんは母親に全てを確かめようと決心した。母親は認知症を患って施設に入院していた。哲夫さんは施設に行き車椅子に乗った母親を庭に散歩に連れ出した。

 

 

母さんに聞きたい事があるんだ。哲夫さんは言った。

  

 

お母さんは何も答えないで空を見ている。

 

ゆきちゃんが死んじゃったんだ。○○川で溺れて。

  

 

 

お母さんの顔がピクっと動いた。

 

 

そのせいであいつとも別れたんだよ。哲夫さんは言った。

  

 

 

お母さんの片方の口角が上がった。

  

 

 

その瞬間。車椅子に座ったお母さんの股の部分から血が流れ出した。血はどんどん地面を染めていく。なんだこれはと哲夫さんは後ずさりした。

  

 

血に染まった地面に歪んだ笑顔の知らない男性が映った。哲夫さんを見てニヤニヤ嗤っている。

  

 

なんなんだこれは。哲夫さんが動けずにいると、その時にまぁ大変!という声が聞こえて施設の職員が駆け寄ってきて騒ぎになった。お母さんは病院へと搬送された。

 

 

哲夫さんはもう嫌だと思い騒ぎの中施設を後にした。

 

 

後の施設からの連絡で外傷もなく病気でもないと知らされた。

  

 

調べた結果月経が始まっていた。との事だった。

  

 

その後哲夫さんは一度も施設に面会に行かずに半年後お母さんは亡くなった。遺品を整理しているとお母さんの子供の時の写真が出てきた。その写真にはお母さんとあの血の中で嗤っていた男が一緒に写っていた。

  

初めて見る哲夫さんの祖父の姿だった。

 

 

祖父であり父親。

  

 

 

哲夫さんの両親の離婚理由は哲夫さんが哲夫さんの祖父と母親の間にできた子供だというのが理由である。

  

 

よくわからない話。

  

 

 

おわり。